昔サラリーマンのころ、一般住宅のリフォーム専門店で営業兼工務として、現場の第一線でバリバリやっていたときの話です。
当時は、毎日数件のリフォームの現場を見ながら、新規案件の打合せ・見積作成、諸々をこなす日々でした。
我ながら当時は、時間の効率化とか、手帳術を駆使して大量のタスクをこなしていたと思います。
そんな時、とあるご年配の一人暮らしの方の家でお仕事をさせてもらうことに。依頼してきたのは遠方に住む娘さん。
以前、一人暮らしのお母さんが、訪問販売のリフォーム業者にぼったくられた経験があり、今回は娘さんが窓口で工事の依頼をしてきたというわけです。(おかさんは当時ぼったくられたことを知りません。)
娘さんの話を聞く限りだと相場で40万円程度の工事を200万円支払ったのだとか・・・同業者として許せないと思いました。
事情を理解したうえで工事を請け負わせていただきました。
今回の工事で私が出した見積もりは相場通りの適正な価格帯です。
たしか30万円くらいだったと記憶しています。
見積内容の承認をもらって工事をすることに。
順調に工事は進んでいきました。最後に若干の指摘が出たので手直しをして、終了。
いつもの業務として、いつも通りの流れです。
完了のご挨拶と請求書をもってお母さんのところへ行きました。
そして言われたひとことが
「以前来てくれた工事屋さんのほうがよかった。担当者は毎日来てくれて、おしゃべりするのがたのしかった。」
正直ショックでした・・・
当時の私は正しい工事を、適正価格で提供することが正義だと信じていたし、当然、お客さんもそれを望んでいると思い込んでいました。
しかし、それだけでは満足を得られない。
かたや、40万の工事を200万で請求しても満足されている。
ぼったくり業者に健全な企業サラリーマンが負けた瞬間でした。
ボッタクリ業者はぼったくるだけのことはあって、お客さんのハートをつかむのが上手です。実際にお客さんは最後まで自分がぼったくられているなんて考えもしません。
ぼったっくりに気付くのは不信感をもって、他者と比較したときです。
なので、お客さんさえ満足していれば、ぼったくりもぼったくりじゃなくなる。
いまでも私の教訓です。
お金も大事だけど、ハートも大事。
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